だしの旨味で減塩☆☆秋の味覚、具たくさんのけんちん汁をつくろう!!

「だし」は減塩だけでなく、血圧にはもちろん血糖値やコレステロール値の改善にも役立ちます。

 一汁三菜が基本の和食は、だしを使った究極の健康食といえます。だしを効かせることで旨味がでるので食塩を減らすことができます。高血圧を抑える食事としても効果的です。

 また、だしを使う和食をメインにすれば、肉や動物性脂肪が少なくカロリー(エネルギー)が低めで、肥満やメタボリック症候群の解消につながり体調も整ってきます。簡単にとることができるのも、だしのメリットです。昆布やかつお節などを使えば、短時間で味わい深いだしをとることができます。
それだけでなく、だしの素材には、健康に役立つ多くの成分が含まれています。

●主なだしの素材の健康効果

【昆布】 

 昆布には、海のミネラルが詰まっています。水溶性食物繊維も豊富で脂質や糖質の吸収を抑えたり、ナトリウムの排泄を促進して、コレステロール値や血糖値、血圧の上昇を抑える作用があります。また免疫を高める効果もあります。

【かつお節】

かつお節はアミノ酸が豊富で、体内で合成できない必須アミノ酸が含まれています。疲労回復効果や、尿酸値降下作用があることがわかっています。

【煮干し】

 煮干しの主な材料であるイワシは、EPA、DHAが宝庫で、青魚に多い不飽和脂肪酸で、血流をよくする作用があります。血栓を防ぐ作用、脳の神経細胞に働きかけて脳を活性化する作用があります。魚が苦手な人は、煮干しだしで青魚成分をとることができます。カルシウムも多いので、だしがらも食べると、カルシウムやタンパク質の補給にも役立ちます。

【干しシイタケ】

 シイタケは天日に干すことで、旨味成分だけでなく、栄養成分も凝縮されます。特に紫外線によって増えるビタミンDは、カルシウムを吸収したり、骨にカルシウムを沈着させたりして、骨を丈夫にします。コレステロールを減らして動脈硬化を予防する働き、免疫を高めてがん予防に役立ちます。

●無理なく減塩する食生活・ワンポイント

 「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、生活習慣病予防の観点から、1日の食塩摂取量の目標量は成人男性7.5g未満、女性6.5g未満となっています。また、日本高血圧学会は高血圧予防のため、1日6g未満を推奨しています。ここから1食の食塩量を計算すると男女とも2.1g ~2.5g程度となります。

 「平成30年度の国民健康・栄養調査」によると、食塩摂取量の平均値は、10.1gで、男性11.0g、女性9.3gとなっています。徐々に減少してきています。 
*「健康日本21(第二次)」の目標に食塩摂取量の減少をあげています。(目標値:1日当たり食塩摂取量の平均値 8g)

 バランスのとれた献立は、「一汁三菜」といわれ、主食、主菜、副菜、汁物がそろった食事です。1食2g強の食塩量にするには、汁物の食塩量は1g~1.2gまでに抑えたいところです。汁物を具だくさんにすることで、副菜もかねて野菜を補うことができ、水分補給の役割も担います。

 「減塩食だと満足できない」とよく聞きます。そこで、無理なく減塩するためのコツを2つ紹介します。

1.薄味になれる

 味覚は習慣なので濃い味に慣れていると、だしの味が薄く感じるかもしれません。しかし昆布やかつお節、煮干し、干しシイタケなどでとった「だし」を使う食生活に変えていけば、徐々に味覚がかえられ、薄味でも満足できるようになり、自然に健康的な食生活を送れるようになります。だしの「旨味成分」が食材の味を引き立ててくれるので、おいしく食べることができます。しょうゆやみそなどの調味料を減塩のものに変えるのも良いでしょう。 

2.食塩を多く含む食品や料理の摂取回数を減らす

 漬物、汁物は1日1回程度にしましょう。ハムやソーセージなどの肉の加工品、イクラやタラコ、塩辛などといった塩蔵製品は、減塩製品を選択するなど、また回数を減らしましょう。食塩摂取に制限のある人は、特に注意しましょう。麺類、味付きご飯(炊き込みご飯、チャーハン、寿司、おにぎり、丼物など)は食塩量がが多いため、制限のある人はそれぞれ週0~1回、制限のない人でも週2回までが摂取目安です。

食塩の過剰摂取は血圧を上げるだけでなく、腎臓にも負担をかけます。食塩摂取と体重も比例関係があるといわれ、生活習慣病のリスクでもあると指摘されています。徐々に薄味に慣れ、食塩摂取を減らしていきましょう。

●昆布とかつお節のだしのとり方 

■だしのとり方  【材料】 1000ml分   水・・・・・・・・1000ml
                       削りがつお・・・・15g
                      板昆布・・・・・・  10g

■作り方

1.板昆布にハサミで数か所切れ目を入れておく。(だしが出やすくなる)分量の水と板昆布を
  鍋に入れ、弱火にかける。
2.煮立つ前に板昆布を取りだし(取り出さないとぬめりが出てくるので注意)削りがつおを加え
  る。ふわっと吹き上がったら、すぐに火を止める。削りがつおが下に沈むのを待ち、あくが出た
  たら取り除く。
3.ボウルにキッチンペーパーを敷き、上から静かに注ぎながらこす。

☆汁物や煮物に「だし」を活用して減塩に心がけてみましょう。

 

●秋の味覚で作る具だくさんけんちん汁

食欲の秋。根菜やきのこ類、いも類など旨味と香りがぐっと増してくる時期です。

「だしの旨味」を活かして減塩!秋の味覚たっぷりのけんちん汁を作ってみましょう。

【材料 2人分】
れんこん  30g  にんじん  30g  大根  50g  ごぼう  50g
こんにゃく 50g  里芋    70g  生シイタケ 1枚
木綿豆腐      100g  万能ねぎ  1/4本
だし   2カップ 薄口しょうゆ 小さじ2 酒 大さじ1 
ごま油  小さじ1

【作り方】 
1.にんじん、大根はいちょう切りにする。ごぼうは皮をこそげて取りささがきにして、水にさら
  す。れんこんはいちょう切りにして、水にさらす。こんにゃくは1㎝角に切り、水から茹でて水気
  をきる。ごぼうとれんこんも水気をきる。里芋は皮をむき、1㎝角に切って3分ほど下茹でし、水に
  さらしてぬめりをとり水気をきる。生シイタケは軸を取り、4~6等分する。ねぎは、小口切りにす
  る。
2.鍋にごま油を熱し、れんこん、にんじん、大根、ごぼう、こんにゃく、生シイタケを炒める。
  全体に油が回ったら、里芋、だし(昆布と削りがつおで取っただしをつかう)を加えて煮立てて、
  アクをとる。弱火で野菜が柔らかくなるまで煮る。
3.絞った豆腐をちぎり入れさっと煮て、薄口しょうゆ、酒を加えて火を止める。
4.器に3を盛り、万能ねぎをちらす。

栄養価(1人分)

エネルギー 116Kcal たんぱく質 6.3g 脂質 2.7g 炭水化物 16.7g
食物繊維 4.9g  食塩相当量 1.2g

参考文献: 全国健康保険組合「お役立ち情報」
      やせる!病気が治る!すごいだし汁
      最新治療と食事高血圧・血圧を下げるおいしいレシピ
      「日本人の食事摂取基準2020年版」「平成30年国民健康・栄養調査」

 

 

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