肝臓は重さが約1200gある、人体で最も大きな臓器です。栄養の代謝や数百種類の有害物質の解毒などを休みなく行っている。「人体の化学工場」です。
肝臓は、毛細血管のかたまりです。肝動脈と門脈から血液が流れ込み、肝臓からは肝静脈へ血液が流れ出し、一方で胆汁がつくられています。
肝臓が持っている代表的な働きは・・代謝、解毒、胆汁の分泌の3つです。
肝臓で処理される血液の量は、毎分約1.5ℓで1日に約2160ℓ。ワインボトルに換算すると、実に2880本にもなります。この血液量からも、肝臓の代謝と解毒の働きが、私たちの生命活動を支えていることがわかります。
肝臓がダウンすると有害物質が排除されずに脳などにまわり、私たちの生命は危険な状態に陥ります。肝臓はその危険をあらかじめ回避するため、たくさんの予備細胞を持っているので大きいのです。
肝臓の再生能力にも目を見張るものがあります。手術などで75~80%を切除されても、約4ヶ月後には元の大きさに戻り、機能も回復するほどです。
肝臓病になって細胞が次々に壊れても、なかなか自覚症状があらわれずに代謝と解毒の働きを行っていけるのは、このすぐれた予備能力と再生能力があるためです。このような、がまん強さから肝臓を「沈黙の臓器」と呼ぶことがあります。
それだけに、自覚症状があらわれたときには肝臓病はかなり進行していることになります。これは、黄疸という自覚症状によって肝臓病に気づく人は全体の約30%で、70%の人は健康診断などで偶然に肝臓病を発見されるというデータからもうかがえます。
健康診断の検査項目と数値の示す意味を理解、自分の「肝臓の数値」をチェック‼
※検査基準値は検査医療機関によって異なることがあります。
※保健指導判定値(GOT:31IU/ℓ以上 GPT:31IU/ℓ以上 γーGTP:51IU/ℓ以上)
GOT
【基準値 10~40IU/ℓ】…肝臓に多く含まれている酵素
数値が上昇すると…肝炎、脂肪肝、慢性肝炎の可能性がある。
お酒を飲む習慣がある人でGOTが高い場合は、アルコール性脂肪肝、肝繊維症、肝硬変、肝臓がんなどの可能性があります。
また、GOT、GPTともに高い場合は脂肪肝や慢性肝炎が疑われるといわれています。
GPT
【基準値 8~44IU/ℓ】…肝細胞に含まれているアミノ酸を作る酵素
数値が上昇すると…数値が異常に高いと急性肝炎の疑いがある
GOT,GPTともに異常に高い場合は、急性肝炎が疑われます。GOTがGPTよりも高いときは、肝硬変やアルコール性脂肪肝が考えられます。肥満や糖尿病による脂肪肝では、GOT よりもGPTが高くなります。また、発熱、腹痛を伴ってGOT、GPTが上昇しているときは、総胆管結石や胆嚢炎、膵臓病などが疑われます。
γーGTP
【基準値 0~50IU/ℓ】…肝臓内の胆管でつくられる酵素。アルコールに敏感に反応する。
数値が上昇すると…アルコール性肝障害の場合が多い
飲酒の習慣があり、γーGTPの実が高いときは、アルコール性肝障害であるケースが多いといえます。ほかの肝機能検査の数値も高いという場合は、急性・慢性肝炎、肝硬変、薬物性肝障害などが疑われます。飲酒しないのにγーGTPが高いときは、肝臓の検査が必要です。
気をつけたい肝臓の病気!・・脂肪肝
脂肪肝は肥満とアルコールが原因
脂肪肝とは、中性脂肪などの脂肪が肝細胞にたまる病気です。肝臓はエネルギー源として肝臓の全重量の2~3%ほどの脂肪を蓄えていますが、脂肪が大量にたまると、肝細胞がふくれて圧迫しあうようになり、細胞間にある血管も圧迫されて血流が悪くなります。酸素や栄養不足に陥り、肝機能の低下を招くのです。
脂肪肝にはこれだけの種類がある
★アルコール性脂肪肝…お酒の飲み過ぎが原因(放置すれば肝硬変に)
★過栄養性脂肪肝…食べ過ぎによる栄養過多、肥満が原因
★糖尿病性脂肪肝…糖尿病による体全体の代謝の乱れ、過食や肥満が原因
★薬物性脂肪肝…脂肪の代謝異常が原因
★栄養障害性脂肪肝…栄養のバランスが悪いことが原因
★非アルコール性脂肪肝…糖尿病やその他の酸化ストレスが原因(肝硬変にすすむことがある)
生活習慣の乱れは肝臓にたまる
▼アルコールの飲みすぎに注意!
週に2日は休肝日をもうけましょう。
▼食べ過ぎによる肥満に注意!
バランスのとれた食事を1日3食、規則正しくが基本です。
▼健康診断で肝臓の健康チェック!
健康診断で検査項目のGOT・GPT・γ-GTPの数値を確認、早期発見で肝臓の健康をとり戻しましょう。
参考文献:肝臓の数値をよくする特効Book
<健康レシピ>「肝臓の数値」改善レシピもご参考ください。