年末年始・・・お酒の量が増えてしまう?ついつい飲み過ぎてしまう?
皆さんは自分にとっての「お酒の適量」を知っていますか?
お酒に強い人、弱い人がいますが、この差はいったい何故なのでしょうか?
大雑把に言うと日本人の1割が「下戸」まったく飲めない。3割程度が「弱い」少量のお酒で顔が赤くなる。6割程度が「飲める」人と言われています。
このお酒に強い、弱いはもって生まれた遺伝子によって決まっています。
◇アルコールの分解の仕組み
飲んだアルコールは、主に小腸で吸収されて血液中に入り肝臓に運ばれ、まず1B型アルコール脱水素酵素(ADH1B)の働きでアセトアルデヒドという物質に変換されます。次の2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)によりアセトアルデヒドが酢酸へ変換され、最終的には水と炭酸ガスなどとなって体外に排出されます。
★お酒に強い、弱いは酵素の働きの違い
このアセトアルデヒドという物質が、顔を赤くしたり、動悸を起こしたり、がんをも引きおこします。
お酒に強い、弱いはアルコール分解の酵素の働きの違いです。
●お酒に弱い人・・・2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い。アセトアルデヒドの作用
が残りやすい。
●下戸の人・・・・・2型アルデヒド脱水素酵素の働きが極めて弱い。
●お酒に強い人・・・2型アルデヒド脱水素酵素の働きが強い。
★タイプ別アルコールの強さのまとめ
アルコール脱水素酵素(ADH1B) | アルデヒド脱水素酵素(ALDH2) | タイプ | アルコールの強さ |
弱い | 強い | アルコール依存症になりやすいタイプ | 強い |
強い | 強い | お酒に強いタイプ | 強い |
弱い | 弱い | 飲めると勘違いしやすいタイプ | 弱い |
強い | 弱い | 少量でもすぐに赤くなるタイプ | 弱い |
いずれでも | 極めて弱い | まったく飲めないタイプ | 弱い |
★お酒に強くなるのは危険
「お酒は鍛えれば強くなる」との経験談をよくに耳にします。もって生まれた遺伝子タイプは
一生変わりませんからお酒の強い、弱いは変わらないはずですが・・・何故でしょう?
本来人間の身体は、危険なアセトアルデヒドが入ってくると、嘔吐をするなどで、それ以上アルコールを摂取しないように反応します。この反応は2型アルデヒド脱水素酵素の弱い人に特に強く出ます。しかし、吐きながらでも無理にお酒を飲み続けていると、やがてアセトアルデヒドに慣れてしまい、飲めないお酒が飲めるようになってしまうのです。
「アセトアルデヒドが分解できるようになった」わけでは決してないので、これはとても危険な
ことです。
酵素の働きでお酒に強いか、弱いか自分のタイプは解かりましたでしょうか?
昔からお酒は「百薬の長」といいます。適度な飲酒は、ストレス解消にも有効で、心の栄養といえるかもしれません。
その適量は、日本酒にして1日1合程度、ビールなら中ビン1本程度です。毎日多量にお酒を飲んでいると、アルコール性肝障害の原因になるほか、高血圧、脂質異常症、痛風などの誘因にもなります。
お酒を飲める人、お酒を飲めない人、弱い人も飲み過ぎず、適量の飲酒を!また休肝日を設けましょう。
参考(一部引用):健康・体力づくり事業財団 健康づくり12