脂質異常症の食事

脂質とは?

脂質の役目

「脂質とは」と考えた時に、あまり良いイメージが無く、太る原因になるものという人が多いと思います。しかしながら、人間の身体は脂質がないと色々不便になるようになっています。

そもそも脂質の役目は、下の図に示すように重要な役割が7つあり、ダイエットのために脂質を厳しく制限すると体の調子を崩すことになります。

注)レセプターとは、受容体といって、生物の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報(感覚)として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと

 

また、脂質は、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促すという働きもあります。

 

脂質異常症の原因

LDLコレステロールの高値の原因として、

1,食事中の飽和脂肪酸のとりすぎがあげられます。

飽和脂肪酸は、肉の脂身(赤身ではなく白い部分。バラ肉、ひき肉、鶏肉の皮も含む)・バターやラード・生クリームなどに多く含まれます。パームヤシやカカオの油脂、インスタントラーメンなど加工食品にも含まれています。

一般的には、冷蔵庫の中で固まっている油脂は、飽和脂肪酸の多い油脂であることが多く、サラダ油や魚油のような液体の油は、不飽和脂肪酸の多い油脂であることが多くなっています。

2,食事中のコレステロールもLDLコレステロールを高くします

食事中のコレステロールは、主に鶏卵の黄身や魚卵から摂取されます。

      

LDLコレステロールが高い人で、飽和脂肪酸やコレステロールを食べる量が非常に多い人は、その量を控えることで、比較的容易にLDLコレステロールを下げることができます。LDLコレステロールが高い人がまず行うべきことは、飽和脂肪酸のとりすぎを改めることです。

 

以上のことから、現時点では、LDLコレステロールが高い人が注意すべきことは、まず飽和脂肪酸を控えることであり、次いで鶏卵などコレステロールの多い食品についても食べすぎないようにすることが勧められます。

 

トリグリセライド(中性脂肪)の高値の要因としては、

1,エネルギーのとりすぎ、特に甘いものや酒・油もの・糖質のとりすぎがあげられます。砂糖の入ったソフトドリンクを飲む習慣のある人も多い傾向があります。

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これらを改めて運動や減量を行うことで、中性脂肪を下げることができます。

また背の青い魚に多く含まれるn-3系(ω-3系)多価不飽和脂肪酸には、トリグリセライド(中性脂肪)を下げる働きがあります

 

 

HDLコレステロールの低値は

1,トリグリセライド(中性脂肪)の高値と連動することが多く、その要因は、肥満や喫煙・運動不足です。

    ↓

運動や減量・禁煙によりHDLコレステロールの上昇が見込まれます。

 

また飲酒には、HDLコレステロールを高くする働きがありますが、飲酒は1合からでも高血圧や肝障害を悪化させますので、HDLコレステロールを上昇させるために飲酒を勧めることはできません 。

脂質異常症の食事療法

1.適切なエネルギー摂取量を

エネルギー摂取量は、年齢・性別・身体活動量・肥満度・血糖コントロール・合併症などを考慮し決定されます。一般的には、標準体重を求め、身体活動量に合わせてエネルギー摂取の適量を決定します。

 

2.コレステロールを控える

血液中のコレステロールは「肝臓で作られるもの」と「小腸で食事から吸収されるもの」がありますが、高脂肪の食事が続いたり、コレステロールの多い食品を食べ過ぎると、小腸からの吸収が増え、血液中のコレステロールの値が上昇します。
食品から摂るコレステロール量は1日200mg以下を目標にしましょう。コレステロールは、卵類、内臓類などに多く含まれます。これらは食べる量と頻度を減らすよう注意しましょう。
魚介類にもコレステロールが多く含まれているものがあります。しかし、魚介類にはタウリンというコレステロール低下作用のある成分を併せ持っているため、魚卵や内蔵を控える程度でよいでしょう。

3.脂質についての留意点

脂肪には、多価不飽和脂肪酸(P):一価不飽和脂肪酸(M)、飽和脂肪酸(S)と3種類あります。体内のコレステロールを増やしやすくするのは飽和脂肪酸を多く含む食品、逆に体内のコレステロールを下げる働きがあるのは不飽和脂肪酸を多く含む食品です。
多価不飽和脂肪酸は植物油や魚油に多く含まれ、一価不飽和脂肪酸はオリーブ油に多く含まれています。どちらも血液中のLDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがあります。飽和脂肪酸は動物性の脂(肉の脂や乳脂肪)に多く含まれ、LDL(悪玉)コレステロールを増やします。また、魚油は中性脂肪を低下させます。
脂肪分の多い肉類や脂肪分の多い乳製品を控え、植物油、魚介類を摂取することで脂肪酸のバランスが整います。また、トランス脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化を促進させますので、トランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングなどの過剰摂取は避けましょう。
油は炒めたり揚げたりする目に見える油をイメージされますが、食品に含まれている目に見えない油脂(例:カレールー、菓子やパン類)にも注意し、調理油として1日大さじ1~2杯を適量として使用しましょう。

4.食物繊維を多く摂る

消化吸収されない食物繊維は、小腸を通過して大腸に到達し、腸内細菌によって発酵され短鎖脂肪酸やガスを生成します。生成された短鎖脂肪酸は、大腸がんや高コレステロールの予防に有効といわれています。野菜やきのこ・海藻などを多く摂るよう心がけましょう。

5.糖質を摂り過ぎない

砂糖、果物、ジュースなど糖質の摂りすぎは、中性脂肪上昇の原因になります。食事は1日3食を基本として、間食で菓子や果物などを食べ過ぎないよう注意しましょう。

うどんとおにぎり、ラーメンとチャーハンなどの炭水化物の重ね食いもやめましょう。

6.アルコールは節度ある適度な量を

アルコールは血清中性脂肪を増やすため、制限が必要です。また、アルコールは高エネルギーである上に、飲酒によって自制心がゆるみ、食事療法が守れなくなる可能性があるので、できれば避けましょう。
おつまみは食物繊維が多く、動物性脂肪の少ない料理を上手に選び、適量をたしなむようにしたいものです。


魚のロールキャベツ

【材料】

魚の切り身  4切れ(1切れ50g)          

キャベツ   4枚

人参     40g

さやいんげん 4本

玉ねぎ    半分

こぶだし   約2カップ

A ( 酒 大1、しょう油 小2、塩 小1/2 )

小麦粉 適宜

※魚の種類はまぐろ、かじき、さけなどです。

【作り方】

1,魚はキャベツに包める位の大きさに切り、小麦粉をまぶしておく。

2,キャベツ4枚をゆで、軸の部分をそぎとる。

3,人参は棒状に切り、玉ねぎは薄切りに、さやいんげんは2等分にする。

4、キャベツをひろげ、魚、人参、玉ねぎ、いんげんを乗せ包みつまようじでとめる。

5,鍋に包んだロールキャベツを並べる。

6,こぶだし(ひたひたになるくらい)、Aを加え20分程度アクをとりながら煮る。

7,煮えたら、食べやすくきり器に盛る。

【一人分の栄養価】 エネルギー164㎉  タンパク質14.0g  脂質8.0g  
   コレステロール44.3mg  炭水化物7.5g  食物繊維1.7g  食塩相当量1.5g

           (一人分 白鮭50g使用)

                              (参考資料:健康長寿ネット、順天堂医科大学HP)

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