~中里浩一先生(日本体育大学保健医療学部教授)のコラムを紹介~
いわゆる筋トレには、様々な誤解があります。
たとえば「ムキムキになるには、きつい筋トレを毎日しなければならない」という説。実は、筋トレのエキスパートであるボディビルダーは、同じ部位を毎日は鍛えません。筋肉を大きくするためには、筋トレ後の休息が必要だからです。趣味としてゴルフやテニスをする人たちからは、「筋トレしても上達しない」とか「フォームが崩れるから筋トレは不要」といった声を耳にすることがあります。これも正しいとは言えません。
もっとも、誤解が生じるのは仕方がない側面もあります。研究や実験を通して、次々と筋肉の新しい特性が発見されるからです。まず、基本的な用語と理屈をおさらいしてみます。
「筋力」は文字通り筋肉の働きによって出せる力で、その最大値はおおむね「筋量」で決まります。どちらも数値化できるものです。そして筋量が増える現象を「筋肥大」といいます。
そのうえで理解してもらいたいのは、筋肥大の仕組みです。筋肉は負荷を与えると、適応できるよう筋量を増やします。効率よく筋肥大させるには、8~10回の運動が限界となる強めの負荷の筋トレを、3セット行なう方法が適切とされています。また、低い不可でも回数を増やせば、ほぼ同じ効果を得られることがわかっています。共通するのは、限界近くまで追い込まねばならないということです。
筋肥大を本格的に目指すのではなく、健康を維持する、あるいは改善することが目的ならば、ちょっと疲れを感じる程度の筋トレでも十分に効果があります。
例えば、体を横にしてテレビを見ながら、足を前後左右に上げ下げし続けるだけで、足腰の筋トレになります。肩幅に離したふたつの椅子の座面に手を置き、膝をつきながら斜めに腕立て伏せをすると、体重の3分の1程度のベンチプレスと同等の負荷を上半身に与えられます。つまり、筋トレは自宅で簡単にできるのです。足腰の筋肉は50歳くらいから衰えはじめます。しかし、一度ついた筋肉は落ちにくいので、こうした手軽な筋トレを生活に取入れれば、健康を維持しやすくなります。さらに、趣味のスポーツを長く楽しめるうえ、高齢になっても上達を狙えます。
ひとつ注意したいのは、食事の内容です。ヒトが必要とするたんぱく質の量は、実は15歳から70歳くらいまであまり変わりません。年齢とともに食事量が減ってたんぱく質が不足すると、体は筋肉から必要な栄養素を持ち出し、結果的に筋量と筋力を減らしてしまいます。加齢とともに食事量が減った人は、肉や豆類を積極的に食べる意識が重要になってくるのです。
筋トレは、仕組みを理解することで、楽しく簡単に続けられます。先ずは、1ヶ月の継続を目標にしてみてください。日々の生活はもちろん、高齢になってからの趣味も充実したものになると思います。(partner2019.11月号)
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