2月から3月にかけて暖かい空気が流れ、関東では3月5日に春一番が吹きました。春一番をもたらした低気圧の通過後、一時的に寒気が入り気温が下がりました。3月中旬以降は最高気温が20度くらいまで上がり、一気に花粉の飛散量が増えてきました。スギ花粉は、九州から青森まで全国で飛散開始しています。(3月中旬時点)ヒノキ花粉も3月9日に福岡、10日に大分で観測されました。
4月に入り九州から東北にかけて、広くスギ花粉が飛散します。また、九州から関東では、花粉シーズンはスギからヒノキに移っていきます。これからヒノキ花粉も飛散してきますので、ヒノキ花粉の対策もしっかりとしてお過ごしください。
花粉がアレルゲンとなって起こるアレルギー性鼻炎を花粉症といい、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが急激にあらわれます。
欧米では「枯草熱」とも呼ばれ古くから知られていました。日本では30年ほど前から広がりはじめ注目されるようになりました。いまでは、日本人の3~5人に1人が患う国民病になっています。
今回は、花粉症が起こる仕組みと、和らげる食材とレシピを紹介します。
主なアレルギー疾患について
主なアレルギー疾患には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎(アトピー)、アレルギー性鼻炎(花粉症)があります。そのほかに、目が充血しかゆくなるアレルギー性結膜炎、特定の食品に反応して下痢や吐き気をもよおす食物アレルギー、同じ薬を長期間服用することで起こる薬物アレルギーなどがあります。そして、それらのアレルゲンは、スギ花粉をはじめとした植物の花粉、ハウスダスト(室内のちり)やチリダニ(室内のちりの中にいるチリダニ科の総称)、かび、動物の毛、食品、薬などがあげられます。
かつてアレルギー疾患は、ごく少数の人がなる珍しい疾患が、次第に一般的な病気になっています。その背景には、食生活の欧米化の伴うたんぱく質中心の食事、住居の洋風化によるハウスダストの増加、経済の発達による負の要因と考えられる大気汚染や環境の悪化、ストレス過多の生活などの影響が考えられます。
アレルギー症状が起こる仕組みは・・・・
免疫の主役となるのが、血液中の白血球です。この白血球は、主に顆粒球とリンパ球の2つで構成されています。体内に異物が入ったときまず活躍するのが顆粒球で、細菌や異物を飲み込んで処理します。しかし、顆粒球は大きいサイズの異物を退治するのは得意ですが、ウイルスや花粉などの小さな異物はとり逃がしてしまいます。
そこで活躍するのがリンパ球です。リンパ球の役割は、体内に入った抗原を排除するために抗原と結合する抗体をつくることです。その抗体が異物を攻撃し破壊します。
花粉症が起こる仕組み
①スギ花粉が体内に入ってくる
鼻やのどの粘膜から、スギ花粉が(アレルゲン)が体内に侵入する。体の中には、
スギ花粉を体外に排出するために、スギ花粉に対する抗体を持ったリンパ球が待
ち構えている。
②スギ花粉と細胞が結びつく
体内に入り込んだスギ花粉は、抗体を持った細胞にぴったりと融合する。このと
き、スギ花粉(アレルゲン)と細胞をくっつける連結器のようなものが、IgE抗体
と呼ばれるもの。このIgE抗体が多ければ多いほど、アレルゲンと細胞が結びつ
きやすくアレルギー反応が強く出る。
③スギ花粉の刺激で化学物質が大量放出
スギ花粉としっかり結びついた細胞は、スギ花粉から受けた刺激で、さまざまな
化学物質を大量に放出し始める。これらの化学物質がひきがねとなって、体内の
別の細胞や組織にトラブルを引き起こす。
④くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの反応
くしゃみや鼻水が激しく出たり、目がかゆくなるなどの症状があらわれる。この
症状がアレルギー反応。本来は有害な異物を体内から排出する防御反応であるく
しゃみや鼻水が、体調が悪くなってしまうほど強く出てしまう。
花粉症を和らげる食材(4つの特攻食材でやっかいな症状を解消!)
しそ・・・しそのルテオリンが過剰な免疫反応を抑え、アレルギー改善に効果を発揮
しそには独特の芳香があり、この香り成分が花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を改善する効果があります。香りの強いしそは料理の味を薄味に仕上げられる利点があります。塩分のとりすぎが気になる人はサラダや和え物に加えたり、ご飯と混ぜたりして積極的に使うといいでしょう。
れんこん・・・アレルギー症状を緩和するれんこんの成分は、花粉症のサプリメント
に使われるほど
れんこんの薬効としては血尿や血便、鼻血などのさまざまな出血を止める作用があります。これはタンニンと呼ばれる物質で止血作用のほかにも炎症を抑える働きやのどの痛みや鼻水などを抑える働きがあります。また、不溶性食物繊維も豊富で腸の機能を強化し、腸内の免疫細胞の働きも活性化して免疫機能を正常に戻します。れんこんの食物繊維は便通もよくして便秘予防にも役立ちます。
玉ねぎ・・・さまざまな抗酸化成分やオリゴ糖が、アレルギーの改善効果をアップ
玉ねぎには抗酸化作用の高い成分が多く含まれています。その中のケラスチンは、植物の色素成分であるポリフェノールの一種で、抗酸化作用を発揮してアレルギー疾患の一因になる悪玉の活性酸素の発生を抑えます。また抗酸化作用にすぐれたビタミンCも豊富。ビタミンCは免疫細胞である白血球の働きを整えて、ウイルスや病原菌に打ち勝つ体作りに役立ちます。玉ねぎを加熱するとふえるオリゴ糖も、アレルギー疾患の緩和に効果的です。オリゴ糖は糖質の一種で、砂糖やブドウ糖が小腸で消化・吸収されてしまうのに対し、オリゴ糖は吸収されずに大腸まで届き、ビフィズス菌など腸内の善玉菌のえさとなって善玉菌を増殖させます。腸内の善玉菌が増えると、免疫機能が正常化するのでアレルギー疾患の予防・改善ができるのです。
ヨーグルト・・・腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える
ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌が豊富に含まれ、腸で働く免疫細胞を刺激し、その働きを強化する効果を持っています。ヨーグルトの善玉菌をとると腸内が酸性になります。悪玉菌は酸性の環境を好まないため、ヨーグルトをとると悪玉菌が減って、その活動も抑えられます。乳酸菌は善玉菌のえさになるので、腸内の善玉菌が増えます。
アレルギー疾患を予防する有効成分の宝庫・麹がみそ汁で手軽にとれる
日本酒を造る過程でできる酒かすには、たんぱく質、アミノ酸、ビタミン類、食物繊維、マグネシウムなど多くの有効成分が含まれます。とくに酒かすの材料のひとつである麹には、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を良好にする働きがあるのが特徴です。また、麹に含まれる酵素は免疫力を調整し、アレルギー疾患の改善効果を発揮します。こうした酒かすの有効成分を日常的にとるためには、みそと合わせると手軽にとれます。
みそは大豆、麹、塩で造られ、酒かすと同じ発酵食品で、栄養価も高く、味も相性も抜群です。みその主材料である大豆たんぱく質は、麴によって分解されているため、体内への吸収が良く、みそに豊富なサポニンやイソフラボンという成分は、抗酸化作用が強く有害な活性酸素を除去してくれます。
簡単レシピでできる花粉症を予防する「みそかす汁」
材料2人分 れんこん 50g にんじん 20g 玉ねぎ 40g しいたけ 1枚
ねぎ 適量 酒かす 25g みそ 大さじ1 煮干し 3~4尾
水 400㏄
具材の切り方
れんこんとにんじんは縦半分に切り薄い半月切りにして、れんこんは水にさらす。
玉ねぎは薄切り、しいたけは石づきをとり薄切りにする。
ねぎは小口切りにする。
みそかす汁の作り方
① 煮干しは好みで頭とはらわたを取り除いて鍋に入れ、水を加えて中火にかけだし
をとる。
② 煮立ったら、酒かすを入れた器にだし汁をお玉1杯分加えて丁寧に溶き、ペース
ト状にする。
③ ①のだしに、れんこん、にんじんをいれ煮立ったらあくをとり、玉ねぎ、しいた
けを入れ、具材に火が通るまで煮る。
④ ペースト状になった酒かすを入れ混ぜ合わせ、さらにみそを溶き入れ、火を止め
る。
⑤ お椀に盛りねぎを散らす。
栄養価1人分
エネルギー 76Kcal たんぱく質 3.8g 脂質 0.8g 炭水化物 12.5g
食物繊維 2.7g 食塩相当量 1.1g
参考文献 花粉症・アレルギーを自分で治す70の知恵
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